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直木賞作家の熊谷達也著「リアスの子」(光文社刊)という本を読んだ。
時代は1990年頃リアス式海岸沿いの港町に赴任した中学校教師の和也。のどかな雰囲気と田舎特有の濃密な人間関係にも慣れた頃、三年生の担任となる。そこに川崎から早坂希という非行傾向のある女子生徒が転校してきた。和也が関わろうとするが、なかなか距離が縮まらない。 ある日ランニングをしている彼女に才能を見いだし、陸上部の顧問の和也は、陸上部へと誘う。生徒との心の行き違いや判断ミスで失敗もする。それでも、それが生徒と心を通わせるきっかけとなる。部活の中で、他の部員との友情を深めながら、希が少しずつ変わっていく・・・・後半はよくありがちな青春ドラマなのだが、読みながら涙が何度も流れた。
この小説を読んで、自分が初任で鴨居中学校に赴任した当時のことを重ねながら思い出した。当時は今よりも子どもと向き合う時間があったようにおもう。この小説のように、学校にもう少し牧歌的なよさがまだ残っていた気がする。
今の学校の現場は確かに忙しすぎる。時間におわれながら子どもと向き合う時間が取れないでいる。でもいつの時代でも大切なのは、「子どもと関わることからしか学べない」のも事実だ。ぜひ若い先生たちに、この本をお勧めしたい。
リアスの子光文社
熊谷 達也
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