「芦名最終処分場へのがれきの搬入を問う! 3「ならぬものはならぬ」
▼上記の地図は予定されている岩手県の放射性物質の分布です。 宮古は一番低いところ。「低いところだけやって、とりあえず地元に理解を求めているだけです。当然のようにそのあとは、基準値を上げたい。という、「東北の実情を考えれば仕方ないだろうと」・・・よくよく考えれば、当たり前の話ですが、「放射線量の高いところは処理しないということになりますか?」 ▼スタートラインの説明から、無理をオブラートに包んで、正義や大義やらとまぜこぜして進めてくるのだろうと思います。15日の説明会では、「被災地を救うためには日本が一つになること」と演説されるでしょう。 約束は 「守ります」「がんばります」と県知事がいったとしても、4年立てば人は変わります。行政は2年~3年で人事異動です。残念ながら「受け入れた」という事実だけが残って既成事実となっていくのです。それが現実ということも受け止めた上で、考えてみてください。 残念ながら、必ずしも芦名の最終処分場でで受け入れる必然性はまったくありません。協定以外のものを受ける必要はなく、改訂のサインをしなければ動きません。市も県も協定の改定が最低必要条件であることを認めています。 キャスティングボートは芦名町内会の判断にかかっているのです。
芦名産業廃棄物最終処分場へのがれきの搬入を問う 黒岩知事の「勇み足」から
▼12月20日、黒岩知事が県議会最終日の本会議で、被災地のがれきの受け入れを神奈川が受け入れることを再表明しました。5月に表明したことから、私も9月の定例会で、知事の「勇み足」として指摘してきましたが、黒岩知事が改めて表明したことになります。この間、知事は協定書の存在もレクチュアを受けて、慎重な対応をしていましたが、突然踏みこんだ再度の表明でした。またしても、地元へ県からの事前の説明はありませんでした。この数カ月地元には、県からは何の音沙汰もなく、前回同様の突然の発表には何があったのでしょうか。知事の面子のために、手を挙げたのでしょうか。 県との「協定書」の意味
▼「がれきの処理をどこかで引き受けること」については、道義的には反対するものではありません。しかし芦名の最終処分場に関して言えば、この最終処分場が作られるときにも、「芦名の自然を大切にしたい」という地元住民みなさんの強い思いがあり、決着までにも長い時間をかけ、ようやく県と地元芦名町内会との間で、「協定書」を結び建設に至ったという経過があります。その中には、①県内の産業廃棄物に限定すること。②持ち込む廃棄物も8種類に限定していること。③ダイオキシンや飛散アスベストは搬入しないこと。さらには、④協定書の内容をこえる提案をするには、協議と住民との合意が必要としています。
そういった意味からすれば、合意なしでは、規定以外の廃棄物の搬入は行えないと言うことになります。さらにがれきの焼却灰は、産業廃棄物ではなく、一般廃棄物の扱いですので、法律的にも別の扱いを受けますし、横須賀市への届け出も必要となります。 焼却灰は16~33倍の濃縮に
▼一番心配なのは、今回のがれきの焼却灰には芦名最終処分場の機能では想定外の「放射線物質」が含まれている可能性があることです。▼黒岩知事は「岩手、宮城県のがれきを想定し、法律上は放射能汚染とされない1キログラム当たり100ベクレル以下としていますが、焼却灰では濃縮され、最低でも1600~3300ベクレル/㎏(県の資料)となります。がれきとして10万トンで、その焼却灰が約1万トン持ち込まれる予定としています。概算で持ち込まれる放射性物質の総量は、1600~3300億ベクレルということになります。 当然管理体制と、検査体制の確立が最低必要条件ですが、そういった水準がきちんと安全・安心レベルまであるとは思えません。 本当に安全といえるのでしょうか。 本当に安全な処理なの?
▼芦名の産業廃棄物最終処分場は、もともと、放射性物質を想定して建設されたものではありません。県からの資料では大きな防水の袋を二重にして、その中に焼却灰入れて搬入し、処分場には土を盛った上に並べて、ビニールシートを掛けて、上から土をかぶせるという安易な処理の仕方となっています。また、現時点では放射性物質の吸着装置などありません。最終処分場というからには、未来永劫この地に埋め続けられるのにしては、扱いが簡単すぎるのではないかという声が多く出ています。
また、搬入基準が焼却灰の持ち込み時には設定されていないことです。搬入基準が大事で、基準以上は入れないというのが基本です。横須賀の焼却灰は、伊賀市でこれまで処理して頂きましたが、放射性物質があるというだけで受け入れてもらえない状況もあります。また、秋田から千葉県流山市の焼却灰がコンテナで送り返されている状況がある中で、受け入れを表明するのには市民感情から見ても適切な判断とは思えません。知事には再考をお願いしたい。 活断層上にある処分場
▼芦名の最終処分場は大楠山の山域の谷を埋め立てるようにしてあり、施設の真ん中を活断層が横切っています。集中豪雨や直下型地震など、まさに震災が三浦半島に起こった場合、断層面から亀裂が入るケースが起こりえます。そこから流れ出た雨水は、小田和湾に流れ込みます。 風評も含めた漁業・農業への影響
▼芦名焼却場の河川の下流域には、たこや近海の漁業で有名な佐島漁港や長井漁港もあります。近隣にもキャベツ畑や大根畑など、出荷をしている農家の皆さんがいます。 風評被害の想定も含め、JAや漁業協同組合の皆さんの声を聞いて進める必要があります。また、とりわけ子どもたちに影響を与える危険性があります。
ならぬものはならぬのです
▼現在被災地のがれきは東北以外では東京のみが処理を実施しています。東京には受け入れられる理由があります。羽田沖に広大な最終処分場(ディズニーランドの10倍)を持ち、一般人が入ることのできない完全に隔離された施設を持っています。また、どの区にも属さずとの直轄となっている場所です。芦名のように地域住民が多く住んでいて、下流に農・漁業の生産地を持つ芦名とは全く条件が違います。 ▼「低レベルだ、安心だといわれても放射線物質の処分場として設計されていない処理場に想定外のものをもちこむことは危険です。まず協定を改悪すれば、次々と状況の変化や必要という名の下でより高い放射能レベルのものが押しつけられることは必定です。▼私たちは大楠の西地区の自然環境と子どもたちの未来のために守らなければなりません。放射能まみれの大楠にすることはできません。▼自然がたっぷりあって、人が優しくあたたかいこの町を大切にしたいという思いです。 「ならぬものはならぬのです」
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